「完璧じゃない私」でも大丈夫:自己肯定感を育むセルフコンパッションの始め方
仕事に家事に育児に、毎日本当にたくさんの役割をこなし、頑張っていらっしゃるのですね。ふと立ち止まった時に「私、これで本当に良いのかな?」と、ご自身に問いかけることはありませんか?
SNSで目にする友人や知人のキラキラした姿、完璧な育児、整理整頓された美しい部屋……。それらを目にするたびに、「私はまだまだ足りない」「もっと頑張らなければ」と感じてしまうこともあるかもしれません。そして、完璧ではない自分を、知らず知らずのうちに責めてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このサイト「本当の私と出会う場所」は、SNSの理想像に囚われず、ありのままの自分を認め、愛するための気づきと学びの場です。今回は、そんな頑張り屋さんのあなたに、自分自身に優しくなるための考え方、「セルフコンパッション」についてお伝えします。
「完璧じゃない私」を認められないのは、なぜでしょう?
私たちは幼い頃から、「こうあるべき」「もっと頑張りなさい」というメッセージを受け取りながら成長してきました。社会に出れば、「プロフェッショナルであること」「周りに迷惑をかけないこと」が求められ、親になれば「良い母親であること」という新たな役割が加わります。
そうした中で、私たちは無意識のうちに「完璧でなければ価値がない」という思い込みを抱きやすくなります。SNSは、さらにその傾向を加速させるかもしれません。誰もが最高の瞬間を切り取って見せる場所で、私たちは知らず知らずのうちに「理想の自分」と比較しては、ため息をついてしまいます。
しかし、立ち止まって考えてみてください。あなたは、大切な友人が少し失敗して落ち込んでいる時、どんな言葉をかけますか?きっと、「大丈夫だよ」「よく頑張ったね」と、温かい言葉とねぎらいの気持ちを伝えるのではないでしょうか。
では、ご自身に対してはいかがでしょうか。私たちはしばしば、友人にかけるような優しい言葉を、自分自身にかけることを忘れてしまいがちです。
自分に優しくなる第一歩:セルフコンパッションとは
セルフコンパッションとは、直訳すると「自分への思いやり」です。心理学者のクリスティン・ネフ博士によって提唱されたこの概念は、「困難な状況にある自分に対し、理解と優しさを持って接する」ことを意味します。
セルフコンパッションには、主に以下の3つの要素が含まれます。
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自分への優しさ (Self-kindness): 失敗したり、苦しんだりしている自分を批判するのではなく、優しく、理解をもって接すること。まるで大切な友人のように、自分を思いやる心です。
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共通の人間性 (Common humanity): 痛みや不完全さは、私たち人間誰もが経験する普遍的なものであると理解すること。「自分だけが特別にダメなのではない」と、孤独感から解放される感覚です。
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マインドフルネス (Mindfulness): 自分の感情や思考を、判断を加えずにありのままに観察すること。苦しい感情に飲み込まれるのではなく、客観的に「今、自分はこんな気持ちなのだな」と気づくことです。
完璧ではない自分を認められないのは、あなたが弱いからではありません。ただ、ご自身に対して優しさや思いやりを向ける練習が、少し足りていないだけかもしれません。
今日からできる!忙しいあなたへ贈る、セルフコンパッションの小さな練習
「セルフコンパッション」と聞くと、何か特別なことをしなければならないように感じるかもしれませんが、忙しい毎日の中でも、すぐに始められる簡単な練習があります。
1. 「心の声に耳を傾ける1分」
- 忙しい最中、ふと「疲れたな」「もう嫌だな」と感じたら、その場で1分間、目を閉じるか、ぼーっと遠くを見てみましょう。
- 自分の呼吸に意識を向け、ただ「今、自分はこんな気持ちなのだな」と、感情をジャッジせずに観察します。
- 「疲れているのは当然だよね」「少し休みたいと思っているんだな」と、自分の感情を認めてあげるだけで、心は少し軽くなります。
2. 「自分に優しさの言葉をかける」
- 失敗してしまったり、思い通りにいかなかったりした時、自分を責める言葉ではなく、温かい言葉を心の中で唱えてみましょう。
- 例えば、「大丈夫、よく頑張っているよ」「これで十分だよ」「次に生かせばいい」といった言葉です。
- 最初は抵抗があるかもしれませんが、繰り返し行うことで、心の癖が変わっていきます。
3. 「小さな自分労わりタイム」
- 一日の終わりに、たった5分でもいいので、自分が本当に心地よいと感じる時間を作りましょう。
- 温かいハーブティーをゆっくりと味わう、好きな香りのハンドクリームを塗る、お気に入りの音楽を聴く、数分間好きな本を読むなど、どんなに些細なことでも構いません。
- 「この時間は、私自身を大切にするための時間」と意識することで、心が満たされていくのを感じられます。
SNSとの健全な距離の取り方
他者と比較してしまう気持ちは、完全に消し去ることは難しいかもしれません。しかし、SNSとの付き合い方を見直すことで、その影響を減らすことはできます。
- 意識的に「見ない時間」を作る: 寝る前や起きてすぐなど、心が落ち着いている時間帯はSNSをチェックしないルールを決めてみましょう。
- 「それは理想の一部」と心得る: SNSに投稿されているのは、その人の人生の「最高の瞬間」を切り取ったものです。その裏にある努力や葛藤は見えません。完璧な姿だけが、その人の全てではないと理解することが大切です。
- 自分の心の状態を優先する: SNSを見て気分が落ち込むようであれば、無理に見る必要はありません。自分を心地よく保つことを最優先にしてください。
不完全な私だからこそ輝ける
完璧ではないこと、時には失敗すること、それは人間としてごく自然なことです。むしろ、不完全さがあるからこそ、私たちは学び、成長し、他者と共感し合うことができます。
ありのままの自分を受け入れることは、決して「諦めること」ではありません。それは、自分自身を深いレベルで理解し、無条件に愛することを学ぶプロセスです。完璧であろうと頑張る鎧を脱ぎ捨てた時、あなたは本来持っている優しさや強さ、そしてあなたらしい魅力に気づくでしょう。
自分に優しくなると、不思議と周りの人にも優しくなれます。そして、あなたの心が穏やかであればあるほど、日常の小さな幸せにも気づきやすくなります。
まとめ
「完璧じゃない私」でも、あなたは十分に素晴らしい存在です。 忙しい毎日の中で、つい自分を後回しにしてしまうかもしれませんが、どうかご自身の心と体に、もう少し優しく、もう少し思いやりを持って接してあげてください。
今日からほんの少しずつ、自分への優しさを育む「セルフコンパッション」を意識してみませんか?あなたの心が穏やかになり、ありのままの自分を愛せるようになることを、心から願っています。